セリフのニュアンスは語尾で決まる!声優の語尾を収める技術とは?

みなさんは演技のダメ出しで語尾について言われたことはありませんか?

声優養成所の講師によって言い方は様々ですが、語尾について、このようなダメ出しを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

・語尾が抜ける
・語尾まで気持ちを込めて。最後まで緩めないで。
・語尾を収めて

語尾に対して厳しい講師の方は多いと思います。
そして、講師によっては“語尾でセリフのすべてが決まる”という方もいるほどです。

それほどセリフの語尾というのは、とても大切なものです。
語尾を少し変えるだけで、相手に伝わる感情も驚くほど変わってしまいます。

今回はそんなセリフの語尾について、実体験を交えながら解説していきます。

目次

セリフで重要なのは語尾

声優養成所で学び始めたばかりの人は、語尾についてダメ出しをされることは恐らく少ないでしょう。
むしろ、そんな技術的なことを気にするよりも、初心者は心の動きを大事にした方がいいからです。

なので、この記事に書いてあることは演技を学び始めたばかりの人は軽く聞き流してください。
演技をするうえで一番大事なことは心の動きです。
まずはそれを大事にして、演技の訓練に励んでください。

私も声優養成所に通い始めたばかりのころは、語尾についてダメ出しされたことはありませんでした。

ただ、演技を学びはじめ数年が経つと、語尾について言われ始める時期が来ました。

もちろん、言われなくてもできている人はいるので、その人たちは言われたことがないと思います。

しかし、できていない人たちは語尾について指摘されるようになります。

気持ちを込めているのに、それが伝わらない・・・

最後まで集中しているのに、気持ちが抜けていると言われる・・・

そうなんです。

気持ちが足りないと思えば、一生懸命に気持ちを作って込めようとしてしまいます。

気持ちが抜けると言われれば、最後まで集中しようと一生懸命気持ちを切らないようにします。

どちらも無駄な力が入っていると思いませんか?

あなたの周りにも上手だなと思う人がいると思います。
その人たちは、とても楽に表現しているように見えませんか?

少なくとも私にはそう見えました。
自分の方が気持ちを込めているように思えるのに、なぜ自分の方が伝わらないのか疑問でした。

答えは一つです。
表現のやり方が間違っていたからです。

心が動いて、その気持ちになっているのであれば、あとは感情に任せてそのままセリフをしゃべればいいのです。
そこに、何かを上乗せしようと余計なことをすると力が入ります。
そして、表現の邪魔をします。

でも、感情に任せてそのままセリフをしゃべっても伝わらない気がしますよね?
私もそうでした。

では、どうするか。

語尾を変えるんです。

私は感情が伝わらない理由のすべてが語尾であるとは言いません。
しかし、原因の一つであり、大きな要因であると思っています。

私は語尾について訓練し、矯正することで、表現力が向上しました。
それまで言われていた、感情が足りないや、気持ちが抜けるなどのダメ出しがなくなり、講師からも評価されるようになりました。

基礎的なことを学び、身につけ、演技についても心が動くということを大事にしている、
それでも、うまく感情が伝わらないという人は、語尾について訓練してみてはいかがでしょうか。

語尾を収めれば感情が伝わる

さて、語尾を訓練しましょうと言われても、どう訓練すればいいのかわからないですよね。

私も全くわかりませんでした。
そしてそれがわかるようになるまでかなりの年月がかかりました。

言葉ではなかなか伝えるのが難しい部分ではありますが、私の実体験で伝えていきたいと思います。

私が語尾に気づいたのはナレーションのレッスンがきっかけでした。
題材は、気持ちのいい天気の中、周りにある色々なものの情景を語りながら、最後に商品を説明するCMナレーションでした。

私はその情景を感じながら、一つ一つ気持ちを切り替えて語りました。

しかし、残念ながらそれは伝わりませんでした。
そしてダメ出しは、感情が足りない、すべてが同じに聞こえてしまうというものでした。
情景一つ一つをどう感じていけばいいか、講師の方が説明してくれましたが、私としてはそれを感じて語っているのに伝わらないというもどかしさがありました。

ダメ出し後、感情を強くしてやってみましたが、結局同じダメ出しをもらうことになりました。

帰宅後、レッスンをボイスレコーダーに録音していたので、復習のため聞き直しました。
自分で聞いても何が悪いかわかりません。
言葉を強くすればいいのかな、言葉の緩急を変えればいいのかなと、小手先のことばかり考えていました。

その時、講師の方が少しだけ読んでくれたところが再生されました。
ほんの一言だけ、見本としてやってくれたのです。

レッスンのときは自分のことでいっぱいいっぱいで気づきませんでしたが、自分の表現と明らかに違いました。
軽くやっているだけなのに、感情が、思いが、ビシビシと伝わってきました。

そして、その時に気づいたんです。

自分のと語尾が違う!
”語尾に気持ちがこもっている。”

そして自分の語尾はふわっとしているということにもその時気づきました。

イメージとしては、氷の上を走るタイヤのCMがありますよね?
スタットレスタイヤはきゅっと停止線で止まりますが、そうじゃないタイヤは止まることができず、スルーっと前に進んでしまいます。
私の語尾はそんなスルーっとした感じでした。
もちろん講師の方は、きちんと語尾が収まっていたのです。

それから私は語尾を収めることを必死に訓練しました。
まずは感情は無視して、文章の素読みを行いました。
基礎訓練として語尾を収めることだけに意識を向けました。

そして、語尾が収めることができている人に付き合ってもらい、私の語尾をチェックしてもらいました。

最初は収めることができず、収まったとしても自分ではよくわかりませんでした。
そして、いつもと違う語尾に違和感も覚えていました。
しかし、それをずっと訓練し続けました。
私は不器用な方なので、身についたと言えるまでは2年くらいかかりました。

しかし、実際の成果としては1週間で出ました。
1週間後から、レッスンでは語尾に気を付けるようにしました。
やったことはただ一点。
語尾を収めるということです。

それだけで、いままで講師の方から毎回ダメ出しされていたのがなくなり、いいんじゃない?と褒められるようになったのです。

レッスンで褒められるようになったので、自分のやり始めたことが間違いではないと確信できました。
だからこそ語尾を収める訓練を2年も続けられたのです。

語尾を収めることで気持ちが入れやすくなりました。

収める時に、そっと気持ちを入れるイメージをするだけで伝わるようになるんです。

それだけでいいので、無駄な力も抜けるようになりました。

言葉だけで説明されると難しいかもしれません。

その場合はプロの声優のマネをしてみましょう。

できれば一言がいいです。

「愛してる」「そばにいてほしい」など一言で気持ちがこもっているセリフで語尾に焦点を当ててマネしてみてください。

自分のとプロのを聴き比べて語尾が違うことに気づきましょう。
気づくことができれば、直すことができます。

まとめ

私は語尾を使い分けられるようになれば、表現の幅が広がると思っています。

野球に例えると、ボール(語尾)をストライクゾーンのどこに投げるのかによって表現が変わるのではないかと思っています。

内角ギリギリを攻めるのか、外角低めギリギリを攻めるのか、
表現したい内容によって変わってくるはずです。

本当は意識的にやることではないのかもしれません。
しかし、自分の思った通りに表現できていないときは、技術を使って表現を助けてもいいと思っています。

昔の私は、ストライクゾーンにボール(語尾)が投げられませんでした。

語尾を収めるということができてから、ようやくストライクゾーンにボール(語尾)入るようになりました。
しかし、同じ場所にボール(語尾)を投げ続けてては通用しなくなります。
今は、ボール(語尾)の投げ分けができるように訓練をし続けています。

このように語尾を収めることができるようになると、次のSTEPに進むことができます。
まだ語尾を収められない人は、まずは語尾を収めることに全力を注いでみてはいかがでしょうか。

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