演技をするとき、
朗読をするとき、
みなさんは五感を使っていますか?
実は、五感を使って表現することで圧倒的に相手に伝わりやすくなります。
言葉の表面だけをとらえてしゃべるだけでは相手に何も伝わりません。
「味覚」「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」の五感を利用することで表現に厚みがでます。
声優はこの五感を駆使して、豊かな表現をしています。
自分の演技に表現力が足りないと思っている人は、演技で五感を使えるように訓練をしましょう。
今回は、五感を利用した表現方法について解説していきます。
五感を利用した演技とは
実は、日常生活ではみなさんも五感を使っています。
しかし、それが演技になると途端にできなくなります。
恐らく意識が全く違うからだと思います。
日常生活で相手に何かを伝えようとしたときを思い出してください。
おいしいものを食べたこと。
楽しかったこと。
腹が立ったこと。
それを人に話すときは、相手に話を聞いてほしい、伝えたいが一番ですよね。
そして相手に話しているときは、その時の状況を、感情を、感覚を、思い出しながら話しているはずです。
自分が体験してきたことを話しているんですから当然ですよね。
これを演技のときもできるように訓練すればいいのです。
そうすることで、あなたの表現力は格段に上がります。
昔、ある講師の方にこう言われたことがあります。
梅干やレモンを見て唾(つば)が出てきますか?
もし 唾 (つば)が出てくるなら、あなたには俳優になれる素質があります。
なぜ、つばが出てくるのか。
それは、食べることを想像したからです。
そして、食べたときの味覚を思い出したからです。
その感覚があるということは、表現者としてとても大事なことなんです。
感覚を思い出しながら、それを利用して演技をする。
それができるようになれば、あなたの演技は相手にきちんと伝わるようになります。
演技で五感を使う方法とは
実際に演技で五感を使う方法について、2つの例で解説していきます。
五感を使うということは演技すべてに共通する部分です。
2つの例を参考にしてすべての演技で五感を使うことを取り入れましょう。
そうすることで、演技にリアリティが生まれ、豊かな表現ができるようになります。
例①ラーメンを食べる
例えば演技でラーメンを食べるとします。
目の前に本物のラーメンがあると想像しながら演技をすることになりますよね。
さて目の前にあるのは何ラーメンですか?
醤油?塩?味噌?
どんな匂いがしますか?
熱いですか?それともちょうどいい温度ですか?
どんな味がしますか?
おいしいですか?
どんぶりを触った感触はどうですか?
おそらくみなさんは一度はラーメンを食べたことがあると思います。
でも演技で食べてみてと言われると、食べ方など、食べることばかりに気を取られ大事なことがおろそかになります。
大事なのは食べ方ではありません。
食べたときの記憶を、感覚を、呼び起こすことです。
できるだけリアルに食べたときの記憶を、感覚を、呼び起こして演技してみましょう。
そうすることで、本当に食べているかのように見える演技をすることができます。
例②森の中で迷う
例えば、森の中で迷っている場面で演技をするとします。
その時、与えられたセリフにばかりに気を取られてないでしょうか。
ちゃんと五感を使ってその空間を感じていますか?
それができていない状態でセリフをしゃべっても相手には何も伝わりません。
実際に森で迷ったことがある人はなかなかいないと思います。
でも、山に行ったことがある人は多いのではないでしょうか。
その時の感覚を思い出してみましょう。
そして、その感覚を使ってみるんです。
今あなたから見える景色はどんな景色でしょうか。
どれくらいの時間迷っていますか?
どれくらい疲れていますか?
喉は渇いていますか?
きっと自然の匂いもするでしょうし、
何か音も聞こえるのではないでしょうか。
歩いている場所は土ですか?
足の感覚も変わりますよね。
そういったことを具体的に感覚を使って感じてからセリフをしゃべることで、相手に伝わりやすくなります。
セリフを与えられると言い方にばかりに気を取られがちですが、大事なのは中身です。
どんな状況で、なぜその言葉を発するのか、そのときに五感で何を感じているのか、それを具体的にすることで、相手に伝わる表現になります。
セリフは結果です。
セリフが出てくるまでの過程を大事にしましょう。
まとめ
今回は五感を使うことについて解説してきました。
五感は日常では誰もが当たり前のように使いながら生活しています。
無意識で使っている五感を、意識的に使うのはとても難しいことです。
しかし、一流の表現者になるためには五感を使えるようならなければなりません。
まずは、セリフをしゃべるとき、表面的な文字だけを追うことをやめましょう。
どんな感覚を使っているのか、何を感じているのか、五感に焦点を当てて演技を構築してみましょう。
それだけで、表現がとても豊かになります。
初めは難しいかもしれませんが、訓練を重ねればきっとできるようになります。