発声で大事なことは呼吸だと言われたことはありませんか?
実は演技(芝居)でも呼吸はとても大事なんです。
しかし、演技(芝居)で呼吸が大事と言われたことがある人は少ないのではないでしょうか。
演技において呼吸というものは本当に大切なものです。
呼吸について誤った知識を持ったまま演技の勉強をしても、思ったように上達できない可能性があります。
声優は息を自在にコントロールして豊かな表現をしています。
この記事では、演技における呼吸の重要さを解説していきます。
演技における正しい呼吸とは
例えば、声優養成所によっては鼻で息を吸えというところがあるようです。
もちろん、訓練の時に深く息を吸うために鼻から吸うようにと指導があるのは理解できます。
しかし、人によっては鼻で吸わないといけないと思い、演技の時も鼻で吸う人がいます。
でも、普通の人は日常でしゃべるときに毎回鼻で息を吸いませんよね?
その時点で演技が不自然になってしまいます。
わかりやすい例として鼻から吸う人について触れましたが、同じようなことをしている人が実は結構いるんです。
セリフを言うときにあなたは息を吸いますよね?
さて、あなたは息を吸った後に気持ちを作っていませんか?
日常生活で何かをしゃべるために、息を吸ってから気持ちを作ることなんて、まずありませんよね?
しゃべりたいことがあって、息を吸ったときにはすでにその気持ちなっているのではないでしょうか?
そうなんです。
息を吸った後に気持ちを作るのでは手遅れなんです。
日常生活ではしゃべりたい感情の息をしゃべる前に必ず吸っているはずです。
息を吸った後に感情を作るのは間違いです。
感情の流れに沿った息を吸って演技をするように心がけることで、あなたの演技はとても自然になるはずです。
感情など関係なく、いつも同じように息を吸って、セリフをしゃべっていては絶対にダメです。
同じ呼吸を繰り返していては、メリハリのない不自然なセリフになります。
感情の流れによって、吸う息の量、早さ、深さ、が変わってくるはずです。
そして、感情の流れで呼吸ができているのであれば、息に任せて演技をすればいいだけなのです。
息に任せて声を出し、演技をする。
これを心がけるだけで、あなたの演技は自然になり、リアリティが出てくるはずです。
大事なのは呼吸に気づくこと
呼吸に気を付けなければいけないのはわかったけど、実際どうすればいいのかわからないという人もいると思います。
でも、気づくことができたのであれば、それだけで一歩前進なんです。
気づかなければ、直すことも、気を付けることもできません。
まずは意識を変えることが重要です。
息を吸ってから感情を作ろうとするのをやめましょう。
そして、その感情になったから、伝えたいことがあるから、息を吸うというようにしましょう。
感情に沿った呼吸をするということを心がけることがとても大切です。
そしてもう一つ、日頃から観察をしましょう。
まずは自分の観察です。
私は声優養成所の講師の方にこう言われたことがあります。
いつも冷静な第二の自分で、自分を俯瞰して見るように心掛けなさい
怒っているときや、悲しんでいるときに、感情的になってる自分ではなく、第二の冷静な自分で自分を観察するということです。
怒っているときは呼吸がこうなるのか、体に力がこう入るのか
悲しいときの呼吸はこうなるのか、意識はこうなるのか
というように感情的になっている自分を、どこかで冷静に分析してみましょう。
それと人を観察するのも大事です。
自分を観察するのと同じように人も観察してみましょう。
きっと演技をするときのヒントになります。
そうして体験したことや、観察したことを自分の中に蓄積していきましょう。
そして、いつでもそれを再現できるように訓練していくのです。
マイク前での演技でも呼吸は大事
実はマイク前の方が、呼吸をつかむのがもっと大変です。
タイムが決まっているので、そこに合わせようとすると、セリフをしゃべり始めるための息を吸ってしまいます。
そして、次のセリフも同じように、しゃべるための息を吸ってセリフをしゃべってしまいます。
そんな風にしゃべったセリフは、もはや何の意味もありません。
きちんとその役の感情の流れを押さえ、自然に呼吸をしてセリフをしゃべらなければいけません。
セリフのあいだ(行間)も、その役はその場にいて、呼吸をしているんです。
相手の話を聞き、感情が揺れ動きながらその場にいます。
そして、次の言葉を発しているんです。
それを自然にマイク前でできるようにならなければなりません。
いきなりマイク前でできるようになるのは難しいと思います。
ですので、声優養成所の演技レッスンで、自分の間、呼吸で、演技をできるように頑張りましょう。
まとめ
今回は呼吸に焦点を当てて記事を書いていきました。
セリフをどう言えば伝わるかな?
もっとセリフに感情を込めた方がいいかな?
というように言葉に頼ってしまう人がかなり多いと思います。
でも、言葉に頼る前に、その感情の呼吸になっているか、
その感情の体に、筋肉の使い方になっているかというところを大事にしてみてください。
あくまでもセリフは結果です。
結果をこねくり回す前に、もっと大事なことがあることに気づきましょう。
気づくことができれば、変えていくことができます。
呼吸に任せて、セリフをしゃべることができれば、あなたの演技はさらに上達するはずです。